黒陶器は、チベット族の密集地でチベット族に広く使用されているオブジェクトだ。シャングリラの尼西郷を最も早い起源とし、特に尼西湯堆村が発祥の地とされている。尼西黒陶器は黒光りが漆のようで、素朴で美しく、遥か遠くの雲南西北及び全チベット地区へ知れ渡り、黒陶器中格別なチベット地区の傑作とされ、チベット族文化の象徴の一つと成った。

黒陶器の歴史は長く、最も早くは新石器時代の後期にまで遡り、金沙江、瀾滄江流域及び迪慶の多くの地区で考古学者が次々と2000以上前の黒陶器皿を発見し、その中で出土した器物は典型的な大型の耳鍋陶器で、尼西湯堆で現在今日焼き上げ製作されている黒陶器の鍋と多くが似ており、春秋戦国時期には、迪慶の土着先住民が既に熟達した黒陶器製作焼き上げ製造技術を持っていたという証明である。尼西郷湯堆村の黒陶工芸は、長年の歴史を持つ伝統ある手工芸であるだけではなく、大変貴重な学術価値を持っている。未開の地でひっそりと人に知られることの無かった尼西黒陶器が、今日ますます多くの人に知れ渡るようになり、描かれたような風景がある湯堆も一つの旅行観光地と成り、黒陶器の製作を見ながら、各種の当工芸品を買う新しい観光場所と成った。シャングリラから出発して、徳欽県の方向へ37キロ行くと湯堆に到着する。湯堆村の孫諾七林は文化部に「国家非物質文化遺産伝承人」に命名され、現在は黒陶器を作る人は、おおよそ彼のともがらで、湯堆に行き、屋根の下に唯一無二の紅白色したタイルのレースがあるのが彼の家で、これは、村人達が彼の家に付けた特殊な標識なのである。

黒陶器は西チベット人の生活において、欠かすことの出来ないオブジェクトで、2000年以上前から、尼西のチベット族の民間工芸人コツコツと両手で遥か昔から黒陶文化を継承してきたのだ。黒陶器製作は主に三つの工程を踏んで完成する。「材料の選択、加工、焼結」だ。黒陶器の材料の選択とは、大事な過程で、選んで使用するのは、湯堆村で清潔できめ細かい赤粘土と灰色の粉末状の土で、乾燥、風寒、洗浄、堆積のこのようないくつかの工程を踏む。加工は成型で、製作者の芸術熟練度が表れる。白地は黒陶器のキーポイントの独特な焼結工芸で変化し、乾燥させる生地は空き地に置いて、松柴に火をつけて30分前後焼き上げる。焼いた器皿が鋳造した鋼鉄の様に赤くなったら、再び大鋸屑の中で30分ほど放置すると不思議な黒陶器が出来上がる。黒陶器製作は、見た感じ簡単な3つの工程しかないように見えるが、実は沢山の工程が必要で、しかも毎回異なる器の形状を製作するため、異なる工具を使用しなければならない。今は、昔の生活用品にも更に多くの工芸色が与えられ、一つ一つのオブジェが素敵な工芸品と成り、現在では多くの人達が家の装飾として買いにやって来る。

尼西黒陶器は簡単だが複雑だ、二種類に分けられ、一つが伝統生活日用品の器皿で、網一つが仏事、宗教用品、大部分がミルクティーの缶、バターの碗、酒壺、麦焦がし碗、調理器具、茶道具、食器、尿缶、花挿、燭台、香炉、聖水壺、仏塔等だ。尼西黒陶器は、ずっと伝統的なチベット式製造方法で製作し、見た感じでは紫砂陶器の決め細やかさには及ばないが、その特徴は黒色、薄さ、光沢にあり、光の下では、紫、藍、銀等の色合いが現れ、その価値は、素朴さと、全て手作りだということだ。今でも現代美学のニーズに基づき、伝統工芸を結合させて、デザインし製作した、新しい品種は、装飾として多く用いられる。尼西黒陶器は、雲南のシャングリラ、徳欽、麗江、チベットのマルカム、ゾガンと四川の稲城、徳栄等のチベット族居住区で販売されている以外に、中国その他の省、市でも人気を受けている。国外でも販売され、多くの人々の好意と好評を受けている。尼西黒陶器で調理した料理は、現代の調理器具では出せない、本場の風味と、香り、美味しさを提供出来る。

尼西黒陶器は、最も原始的な古来の方法を世襲し今に至り、使いやすさを融合し、観賞性を高め、工芸性を一体し、形状が唯一無二、黒い光沢、簡潔で美しく、豪快で慎み深く、古風で質樸で神秘的で、魅力的に溢れている。“黒いこと漆の如く、光沢玉の如し”と賞賛され、古来の文化工芸の結晶は、今でも人を魅了し続ける。